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３話 彼の好奇心と、魔法の実験
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2025-09-24 11:25:48新たな試みが始まる。剣の刃全体に魔力をコーティングし、切れ味を劇的に向上させる──さらに刃が欠けないよう強化する。
そうイメージし、試しに切ってみると──
スッ……
あまりにもスムーズに、まるで豆腐を切るかのように木が裂けた。木を切る時の抵抗がほとんど感じられない。
「うおぉ……す、すげぇ！ 簡単に切れた……！」
手応えすら感じないほど、あっさりと断ち切れる。これならば、薪には当分困らないだろう。
「あ、剣に魔力のコーティングができるなら……石にもできる？」
もし石を強化できれば、もっと強力な遠距離攻撃が可能かもしれない。
試しに、砕けないよう魔力をコーティングし──撃つ！
ターゲットは近くの大きな岩だ。
ズガァン！！
石弾は岩を貫通し、そのまま砕け散って遠くへ飛んでいった。岩には穴がぽっかりと開き、その向こうには青い空が見える。
「おぉ……！」
威力は申し分ない。しかし、ここに来てわずか数時間で強くなりすぎた気がする……。
「……まぁ、この世界に来て数時間で、ここまで強くなれるなら……他にも同じ能力の人がいるなら普通なのかもな？」
考えても答えが出ないことを悩んでも仕方がない。
「それなら今は、面白いから色々と試してみよう！」
彼はそう思い立ち、遠距離射撃を試みる。山の方に見える大きな木を的にしよう。
先ほどの強化した石のイメージで──撃つ！
（……あ、外れた。ちょっと、遠すぎたか……）
悔しさがにじむ。距離の問題か……弾の安定か？
「……命中精度を上げるなら、ライフリングとか？」
弾を回転させることで、まっすぐ飛ばす役割を果たすはずだ。確か、ライフリングの溝が弾を回転させ、弾道を安定させるんだったか？
「ライフリングがなくても、弾自体を回転させればいいのか……」
新たなアイデアが浮かび、次の実験へと彼の気持ちが高まる──！
「ライフルの弾の形状を……イメージする」
次の瞬間、彼の手のひらに現れたのは、ただの石ではなく──鉄っぽい金属の素材だ。しかも、しっかりとライフルの弾の形状になっている。表面は冷たく、ずしりと重い。
重さがあれば威力も上がり、弾自体も風邪などの影響を受けにくくなるか。普通なら弾を飛ばすエネルギーの問題が出てくるが、魔法だし問題ないだろ。
「おぉ……これは期待できる！」
魔力を込め、狙いを定めて──撃つ！！
ズガンッ！！
鋭く飛んだ弾丸は、狙った場所に寸分の狂いもなく着弾。そのまま遠くの木を破壊し、砕け散って遠くへ飛んでいった。
「……完璧だな」
次のアイデアが浮かぶ。
「連射って……できるか？」
マシンガン、ガトリングのイメージを強く持ち、五十メートル先に大きめの的を作り出す。そして、一気に連射──！！
ダダダァァァァーーッ！！
彼は連射の速度をコントロールしながら、的に弾丸を撃ち込む。木屑が舞い上がり、的がみるみるうちに粉砕されていく。
「ヤバッ……これ、面白い！！」
「弾を大きくしたら破壊力も相当ヤバイだろ、これ」と、終わらなそうな危険な好奇心を抑えた。
（あ、これって……破壊力の行きつく先って……俺の知識の中ではアレだよな。この辺りを吹き飛ばし、生物が生存できないような環境にしてしまいそうだ……）
「次は散弾銃……試してみるか？」
５０メートルほど先に的を作り出し、撃ってみる。
バンッ！！
弾は広範囲に散らばり、的にいくつか当たる程度。的に当たった弾が鈍い音を立てる。
「んー……弾が散りすぎてるな。でも猟ならこれで十分か？」
もう少し狙いを絞るイメージで……撃つ！！
ズガァン！！
今度は的全体にしっかり命中した。衝撃で砕け散る的を見て、彼は満足げに頷く。
「成功だ！！」
「あ……でもこれって、対象物が無くなるんじゃないか？」
連射や爆発の威力を試してみたものの、獲物が跡形もなく消し飛んでしまうようでは、狩りには向かないだろう。
「やっぱり、ライフル弾の方が狩りに向いてるな……」
問題は、この広大な森に獲物がいるかどうかだが。
この方法なら火薬を使っていないので発砲音もなく、周囲に気づかれずに獲物を仕留められるかもしれない。仮に外れたとしても、音がしないから逃げられにくいはずだ。
そこで彼はふと思う。
「……アニメで見た探索魔法って、使えるのかな？」
もし使えるなら、獲物を探すのに便利だし、狩りの効率も格段に上がるだろう。
探索魔法にはどんな種類があるだろうか？ 例えば──
・魔力を周囲に広げて、反応を探るタイプ（レーダー式）
・視界に敵や獲物の位置を映し出すタイプ（ハンタービジョン）
・生命エネルギーや熱を感知するタイプ（生命探知）
まずは、魔力を薄く広げて周囲の動きを探る方法を試してみよう。果たして、この世界でも探索魔法が使えるのか……実験開始だ！
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